イソップ物語「94-羊と番犬」


朗読「94-羊と番犬.mp3」2 MB、長さ: 約 2分 21秒

(94)ひつじ番犬ばんけん

 ひつじが、あるとき羊飼ひつじかいにむかいまして、自分じぶんたちと、番犬ばんけんとのあいだで、あつかいに大変たいへんちがいがあることをなげきまして、
本当ほんとうに、あなたのやりかた不思議ふしぎですよ。そして、本当ほんとう不公平ふこうへいじゃございませんか。わたしたちは、あなたにひつじ子羊こひつじや、それにひつじちちまでもげていますのに、わたしたちが、あなたからいただきますものは、くさばかりでございますよ。そして、そのくさったって、わたしどもが、みんなさがしてべるんじゃありませんか。それにきかえて、あのいぬは、あなたに、何一なにひとつあげるわけでもありませんのに、いつも、あなたのがるご馳走ちそうけていただいているんですもの。」
と、いました。
 すると、このことが、いぬみみはいりましたから、いぬは、早速羊さっそくひつじむかいまして、
「そりゃおまえうとおりさ。しかし、それがたりまえなんだよ。まあ、よくかんがえてごらん。もしも、おれというものがなかったなら、おまえたちはどうなるとおもう。たちまち泥棒どろぼうがきてぬすんでいくぞ。おおかみらすだろう。本当ほんとうに、おれというものがあって、お前達まえたち見張みはりをしてやっているからいいようなものの、さもなけりゃ、おまえたちは、安心あんしんしてくさっていられないんだぞ。」
と、怒鳴どなりつけました。
 それで、ひつじいぬ言葉ことばに、なるほどと感心かんしんしまして、そのあとは、もうふたた主人しゅじんあつかいの不平ふへいわなくなりました。