イソップ物語「93-父と子」


朗読「93-父と子.mp3」2 MB、長さ: 約 2分 30秒

(93)ちち

 あるひとが、三人さんにん息子むすこっておりましたが、どういうものか、兄弟仲きょうだいなかわるくて、始終喧嘩しじゅうけんかばかりしていました。それで、ちちもいろいろとしかったりさとしたりしましたが、すこしもかず、相変あいかわらず喧嘩けんかえませんでした。
 そのうちに、ちち病気びょうきになり、それが日増ひましにおもくなり、いまくすりもなく、いよいよいのち今日明日きょうあすせま有様ありさまとなりました。
 そこで、ちち子供達こどもたちいつけまして、一束ひとたばえだってこさせまして、さら三人さんにん息子むすこ枕元まくらもとあつめ、
「さ、ここにえだたばがあるから、一人一人順々ひとりひとりじゅんじゅんに、たばのままひざいて、ってみてごらん!」
いました。
 そこで、三人さんにん息子むすこのうち、一番弟いちばんおとうとが、まずろうとしましたが、とても駄目だめでしたから、なか息子むすこわってやりましたが、これもることが出来できません。わりにあに息子むすころうとしましたけれど、これもやっぱりることが出来できませんでした。
 それで、ちちさらに、そのたばいて、一人一人ひとりひとりに、一本いっぽんずつらせますと、今度こんどなん造作ぞうさもなくれましたので、ちちは、
「どうだ、子供達こどもたち、お前達まえたち一緒いっしょちからわせてやれば、どんなてきにもけることはないぞ。けれどもお前達まえたち喧嘩けんかをして、わかわかれになっていれば、一人ひとりよわちからで、どうしててき攻撃こうげきえることが出来できるか。このわけは、いま前達まえたちがやった、このえだることで気付きづいたはずだが、ちちくなったあとは、兄弟仲きょうだいなかよくしてくれなけれはいけないよ。」
と、かせたのでした。