イソップ物語「88-バラとケイトウ」


朗読「88-バラとケイトウ.mp3」2 MB、長さ: 約 1分 54秒

(88)バラとケイトウ

 あきはじめのころ、花畑はなばたけにさまざまなはなが、大変綺麗たいへんきれいいていましたが、なかでもことに目立めだったのは、隣同士並となりどうしならんでいた、あかいバラと、あかいケイトウでした。
 あること、ケイトウは、おとなりのバラにむかって、
「バラさん、バラさん、わたしはね、本当ほんとうにあなたがいつもうつくしくって、それにかおりもたかいのがうらやましくってたまりませんのよ。それでは、みな可愛かわいがられるのも無理むりはありませんね。本当ほんとうわたしうらやましいですわ。」
と、はなしかけました。
 すると、バラはめられてよろこぶかとおもったら、かえってかないかおをして、
「いいえ、ケイトウさん、あなたはなにおっしゃいますやら、わたし姿すがたは、それこそほんの一時いちじですよ。はなびらがすぐにしぼんでちてしまいますと、もううつくしいいろもなく、たかにおいもなくなって、わたしいのちれるのですものね。それからますと、ケイトウさん、あなたのはなられたって、けっしてしぼむということがないじゃありませんか。うらやましいとはわたし言葉ことばでございますわ。」
と、おおきくいたはなくびをうなだれて、こたえました。