十五少年漂流記(35)

朗読「十五少年8-3.mp3」15 MB、長さ: 約 16分 49秒

十二時じゅうにじぎた。と、二人ふたりは、そろそろおこして、あし、さしあしそばしのった。天井てんじょうからるしたあかりのひかりが、はっきりと二人ふたりあやしげな挙動きょどうらしした。物置ものおき、つまり、かわめんしたほうはかんぬきをかたくさしたうえ内側うちがわから大石おおいしかさねて、それをさえてあった。二人ふたりはこのいしのぞき、まさにかんぬきにをかけようとした。その刹那せつなてつのようなうでが、ぎゅっとロックのうしろからつかんだ。
ロックはびっくり、うしろをくと、そこにはセベルンごう二等運転手にとううんてんしゅかおがあった。
「やや、イバンス!貴様きさまここにいたか?」
「さあ、みんない!い!」イバンスは声高こえたかくみんなに合図あいずをした。
バクスター、グロース、ドノバン、ブリアン、四人よにん少年しょうねんは、
「それっ」とばかりけてて、フホーベスをひっとらえた。ロックはイバンスのりほどくなり、洞穴ほらあなそとやみした。イバンスはじゅうをとるよりはやく、やみがけて、どんと一発放いっぱつはなった。が、弾丸だんがんくうんでったのみで、なんごたえもなく、ロックの姿すがたはそのままそとえた。
イバンスは、「がしたか、残念ざんねんだ。が、まだここに一人ひとりいる。こいつをがしていいものか」とさけびながら、腰刀こしがたないて、フホーベスを一刀いっとうのもとにころそうとした。
フホーベスは、「いのちばかりはたすけてください、たすけてください」となみだかべて、嘆願たんがんした。
ケイトも、「イバンスさん、フホーベスのいのちだけはたすけてやってください。このひとわたしいのちたすけてくれたのです」そうって嘆願たんがんされてみると、イバンスも、はじめて気持きもちがやわらいで、
「じゃあ、今夜こんやのところは特別とくべつ慈悲じひをもってゆるしてやろう」
そうって、フホーベスを厳重げんじゅうしばりあげ、さきほどまでイバンスたちかくれた戸棚とだななかんだ。そのうえまえにはおおきないしき、をしっかりとざした。
「そこでゆっくりつかれをやすめるがいい」ドノバンはった。
少年しょうねんたちは、こうして一同武器いちどうぶきをとって、けるのをった。
けると、イバンスは、ゴルドン、ドノバン、ブリアンの三人さんにんとともに、洞穴ほらあなそとて、てき動静どうせいをさぐってみた。戸外こがいにはおおくのひと靴跡くつあとみだれているが、ワルストンたちかげさええない。陥穽林かんせいりんのあたりにもなん異状いじょうもない。彼等かれらはどこからてどこへったのだろうか?これをっているものは、洞穴ほらあななかにいるフホーベスのほかにはない。
四人よにん洞穴ほらあななかかえしてた。戸棚とだななかからフホーベスをし、なわをゆるめて尋問じんもんはじめた。
「フホーベス、わることはできないものだ。われわれはおまえらの計画けいかくをとうに見破みやぶっていたよ。さあ、いのちたすけてやったかわりに、ワルストンの計画けいかく正直しょうじき白状はくじょうしろ」
フホーベスはうなだれた。かれはケイトや少年しょうねんたちにかおられるのを、ひどくじるように、だまってくびれていた。
ケイトもそばから、「フホーベスさん、あなたは、セベルン号虐殺ごうぎゃくさつときにも、わたしいのちすくってくれたこころひとですよ。さあ、あなたはもう一度いちどあのとき善人ぜんにんもどって、このつみのない十五人じゅうごにん少年しょうねんたちをすくってください。すくってください!」
そして、彼女かのじょやさしくフホーベスのかたいて、
「フホーベスさん、あなたはこんな悪事あくじをしたにもかかわらず、いのちたすけられたんですよ!それをかんがえただけでも、あなたは改心かいしんなさらなければいけない」
そうしみじみわれると、かれははじめておおきなためいきをもらした。そして、ついにくちった。
「では、わたしはいったいなにえばいいんです?」
「だからさ、昨夜さくや前達二人まえたちふたりは、悪人あくにん手引てびきするために、洞穴ほらあななかへ、まぎもうとしたのだろう?」
「はい」
「そして、場合ばあいによったら、このつみもない少年しょうねんたちを皆殺みなごろしにするつもりだったのだろう?」
イバンスはった。
フホーベスは言葉ことばもなくくびれた。
「いったい、ワルストンたちはどこから洞穴ほらあなちかづいて計画けいかくになっていたのだ?」
みずうみきたほうからーー」
「それでおまえとロックは南岸なんがんからここへたのだな?」
「はい」
「じゃ、奴等やつらはもうこのしま西岸せいがんったことがあるのか?」
「いいえ、まだ一度いちども」
奴等やつらいま、どこにいる?」
わたしりません」
奴等やつらのこれからの計画けいかくについておまえなにっているか?」
「いいえ」
奴等やつらはまたここへやってるか?」
「はい」
それ以上訊問いじょうじんもんしても、フホーベスはこたえることができなかった。かれはそれ以上知いじょうしらなかったのだ。そこでふたた戸棚とだなうえまれた。
午後ごごになって、モコーがものってったが、かれフホーベスは一口ひとくちべなかった。ただくびをたれてかんがんでいた。かれなにかんがえていたのであろうか?あるいはわることをしたのをいているのではなかろうか?
せまっての第一だいいち問題もんだいは、ワルストンがどこまでげたかということであった。それがわからないと安心あんしんできない。イバンスは昼食ちゅうしょくあと、まずそれを偵察ていさつしようとおもった。みんな賛成さんせいして、さっそく支度したくにかかった。
はずはこうまったーー。
留守組るすぐみイバーソン、ジェンキンス、ドール、コスターのちいさなたち。その護衛ごえいはケイト、モコー、ジャック、バクスター。
ほか八名はちめい少年しょうねんは、みんなイバンスととも出発しゅっぱつすることになった。味方みかた少年しょうねんでも、てき一倍半いちばいはん人数にんずうだ。そのうえ、めいめいじゅうたずさえ、武器ぶき十分じゅうぶんだ。てき六名ろくめい武器ぶき五個ごこじゅうだけ。そしてイバンスのいうところによると、彼等かれら弾薬だんやくはもうのこすくなくなっている。このてん味方みかたにとって、非常ひじょうつよみだ。
偵察部隊ていさつぶたいは、午後二時ごごにじ洞穴ほらあなたが、かんぬきをさしただけで、いしまなかった。偵察ていさつひとたちがきゅう洞穴ほらあな退しりぞときに、開閉かいへい不便ふべんだからである。彼等かれらはボードウィン埋葬地まいそうちのぶなのしたとおって、陥穽林かんせいりんはいってった。
すると、まっさきはしっていたフワンが、たちまちなにした様子ようすだ。警戒けいかいしながら、数歩進すうほすすんでくと、はたして一群いちぐんしげったしたえさしのたきぎがあった。しかも、まだけむりがのぼっている。つい先刻せんこくまでここにひとがいたにちがいない。
「きっとワルストンらがここでやすんでいたのだな」ゴルドンがった。
「そうだ、奴等やつらはここをってからまだ一二時間いちにじかんにもならないぞ!」
そうわらないうちに、たちまち、こうから一発いっぱつ銃声じゅうせい弾丸だんがんはブリアンのひたいをかすめてぴゅーとんだ。それと同時どうじに、味方みかたからも一発いっぱつ銃声じゅうせい少年達しょうねんたち一人ひとりドノバンがったのだ。
その瞬間しゅんかん二十にじゅうメートルほど彼方かなたみぎはやしなかで、「あっ」とさけこえ、ざわざわとひとうごおとこえた。あとはうめくこえながのこる。じつ名射撃手めいしゃげきしゅドノバンが、てき銃声じゅうせい目当めあてにったのだ。
ドノバンはフワンをさきだてて、まっしぐらに、はやしなか突入とつにゅうした。
まえへ!まえへ!」イバンスも一同いちどうはげましながら、はやしなかすすんでく。
はやしなかには、一人ひとりおとこたおれていた。
「あ、これはバイクだ。これで世界せかいから悪人あくにん一人減ひとりへったわけだ」と、イバンスがった。
「ほかの奴等やつらはどこへった?まだとおくへはくまい」
「そうだ、追撃ついげき追撃ついげき!あ、みんな、ふせろっ!」
同時どうじに、またもや彼方かなたから一発いっぱつ銃声じゅうせい!かがもうとするサービスのひたいに、弾丸だんがんんでた。
たれたか?」ゴルドンがたずねる。
「いや、ほんのかすりきずだ、大丈夫だいじょうぶだっ!」かれ勇敢ゆうかんこたえる。
そのとき、ガーネットはふとづいたように、
「ブリアンはどこへった?ブリアンくん?」
われてがつくと、ブリアンの姿すがたえない。ただフワンが灌木林かんぼくりんめがけてはしんだので、ドノバンは、
「ブリアンくん!ブリアンくん!」と、さけびながらあとった。
グロースは地上ちじょういながら、
「イバンスさん、けて!」
間一髪かんいっぱつ、イバンスがげた頭上七八ずじょうしちはちセンチのところを、弾丸だんがんがぴゅーとんだ。
畜生ちくしょう!」
イバンスがあたまをあげてると、こうへ一人ひとりてきげてく。昨夜取さくやとがしたロックだ。イバンスはじゅうねらいをつけて、
「まて!」と、さけびながら、一発放いっぱつはなつと、てきはさながらくさなかえるように姿すがたかくした。「ちぇっ、がしたか、残念ざんねんだな!」イバンスはじだんだんだ。
それはただ五六秒間ごろくびょうかん出来事できごとだった。イバンスはグロースとともに、すぐにフワンのごえってった。
そのこうには、ドノバンが、
「あ、ブリアンくんゆるめるな、ゆるめるな!」と必死ひっし絶叫ぜっきょうしている。
みると大変たいへんことこっていた。灌木林かんぼくりんなかでは、ブリアンがコープのためにかれ、いまや、てきはナイフをげて、ブリアンを一刺ひとさしにそうとしている。
ドノバンは、けつけるとすぐに、悪者わるもの右手みぎてをしっかりつかんだ。そして、片手かたてこしをさぐって、ピストルをろうとした。
その瞬間しゅんかん右手みぎてゆるみにつけいったおとこは、つかまれたりほどいたとおもうと、ドノバンのむねにナイフをぐさっとりつけた。
「あっ!」さすがに勇敢ゆうかんなドノバンも、むねをさされて、のけぞりながらうしろへたおれた。
そのあいだにコープは、素早すばやきたはやしんだ。ウイルコクス、ウエッブ、ガーネットとう銃口じゅうこうをそろえて、そのうし姿すがためがけてった。った。一二発いちにはつたしかにごたえがあったようにおもったが、そのまま姿すがた見失みうしなった。
ブリアンはこすと、すぐにドノバンのところって、そのあたまげた。しかし、ドノバンはそのうえにぐったりともたれて、かすかないきをするばかり、こんこんとねむっている。
「ドノバンくん、しっかり、しっかり・・・」ブリアンは、必死ひっし手当てあてをした。
イバンスは手早てばやくシャツをき、傷口きずぐち調しらべてみると、ひだり胸第四肋骨むねだいよんろっこつのあたり、心臓しんぞうはずれたところにきずがあった。呼吸こきゅうよわくなっているのは、あるいははいをやられたのかもしれない。
いずれにしても、ひとまず洞穴ほらあなかえらなければならない。--少年達しょうねんたちえだあつめ、担架たんかつくってドノバンをせた。四人よにんかついで、洞穴ほらあなほうかえってった。
さすが一行中いっこうちゅう勇者ゆうしゃ、ヒーローのドノバンも、おもきずいたみにえかねたか、担架たんかうえくるしいうめきごえはっした。
少年達しょうねんたちやすんではき、またって、やっとみち四分よんぶんさんほどた。けれど、どうしたことか、洞穴ほらあなくちには人影ひとかげえない。
と、突然とつぜん、ニュージーランドがわほうから、少年しょうねんたちのさけごえこえてた。フワンはこえのするほうのようにはしってった。うたがいもなく、ワルストンみち迂回うかいしてきて、洞穴ほらあな攻撃こうげきしているのだ!