十五少年漂流記(32)

朗読「十五少年7-6.mp3」7 MB、長さ: 約 7分 42秒

イバンスはかたつづける。
「それで、私達わたしたちは、それからもりなか一夜いちやかし、翌日よくじつ、ボートのところへって、ふね修理しゅうりをしようとしましたが、道具どうぐがないのでやめて、ものみずをさがしに、浜辺はまべみなみほう二十にじゅっキロメートルばかりきました。すると、ひとつのかわくちたっしました」
「それは僕等ぼくら東方川とうほうがわ名付なづけていたかわです」サービスがった。
「そうですか。で、その東方川とうほうがわをボートで浜辺伝はまべづたいにうろつきましたが、ものもなければなにもない。とにかく、私達わたしたちがほしいのはふね修理しゅうり使つか道具どうぐだけです。それさえあれば、ふね修理しゅうりして、このしまるつもりだったのです」
僕達ぼくたち道具どうぐっています」ドノバンがった。
「ワルストンたちもそうおもっています」
「なんですって?先方せんぽう僕達ぼくたちがここにいるのを、もうっているんですか?」
無論むろんです。十日とおかばかりまえのことですが、かれらはわたし一緒いっしょかわきしをさかのぼって、はやしなか散歩さんぽしているうち、おおきなみずうみきしました。すると、あししげっている岸辺きしべに、おおきな油布あぶらぬのつつまれたものがちていたのです。それをとき私達わたしたちはどんなにびっくりしたことでしょう」
「それは僕等ぼくらたこだったんだな」とドノバンがった。
「ですが、私達わたしたちは、それがなんだかさっぱりわかりません。・・・ただ、人間にんげんつくったものだということだけはわかりましたので、わたしこころなかには、希望きぼういてきました。わたしすきをうかがって、かれらのからのがれ、これをつくった人達ひとたちすくってもらおうとおもいたったのです。たとえ、それが、野蛮やばんひとたちであっても、セベルンごう殺人者達さつじんしゃたちのようなことはあるまいとおもったからです。ですが、そのことがあってから、かれらは一層いっそうきびしくわたし監視かんしするのです。そして、一方彼いっぽうかれらは、それとなく南方なんぽうを、一生懸命いっしょうけんめいに、十分警戒じゅうぶんけいかいしながらくだってきましたが、そのあいだ、ついぞひと足跡あしあとらしいものをませんし、一発いっぱつ銃声じゅうせいきませんでした」
「それは僕達ぼくたちが、おたがいにいましって、洞穴ほらあななかから一歩いっぽないようにしていたからです」ブリアンがった。
「けれども、僕達ぼくたちはとうとうあなたがた居場所いばしょつけました。二十二日にじゅうににちよるでしたが、かれらの一人ひとりがはじめてこの洞穴ほらあなちかくへると、あいにくあなたがたが、けているので、えたのです。それをいたワルストンは、つぎ午後半日ごごはんにち自分自身じぶんじしん川岸かわぎしはやしなかにかくれて、あなたがた動静どうせいをすっかりうかがったのです」
「そうだ、僕等ぼくらはそれをっています」
「どうしてです?どうして御存知ごぞんじなのです?」
じつ僕達ぼくたちはあそこの川岸かわぎしでパイプをひろったのです。それをケイトさんにせると、ワルストンのだとっていました。」ブリアンがこたえた。
「なるほど!ワルストンもパイプをとしたことを非常ひじょう残念ざんねんがっていましたっけ。しかし、やつはこの半日はんにちあいだに、あなたがたがみんな少年しょうねんばかりだということを見抜みぬいてしまったのです。そして仲間なかまにそのことをはなしながら、どういうふうに攻撃こうげきしようかと計画けいかくてていました」
「じゃあ、あの悪魔あくまは、この無邪気むじゃきなお子様方こさまがたにまでをのばそうとしているのですか?」ケイトはおどろきのこえげた。
「そうです、かれらはセベルンごう船長せんちょう乗客じょうきゃくたいしてやったときのような凶悪きょうあく計画けいかくで、あなたがたほろぼそうとくわだてているのです。それで今朝けさはワルストンはフホーベスとロックにわたし監視かんしさせ、みんなていったので、これこそてんあたえと、二人ふたりがよそをしているすきに、わたしはやしなかんだのです。二人ふたりわたしげたのをると、すぐさまいかけてはやしなかはしってました。わたしげにげました。まれてはじめて、こんなにながく、こんなにはやはしりました。たった七時間ななじかん五十ごじゅっキロメートル以上いじょうはしったのです。それから、あなたがたみずうみ南西岸なんせいがんで、西にしながれるかわのほとりにんでいると見当けんとうをつけて、あなたがた洞穴ほらあなちかちかくとびたのです。うしろの二人ふたりじゅうっていたので、わたしいかけながらうしろからねらちをする。たまわたしみみをかすめてんだことも度々たびたびでした。あぶなかったですよ。しかし、もし二人ふたり鉄砲てっぽうっていなかったら、あんなやつ二人ふたりぐらい相手あいてにすることはなんでもなかったのだが・・・。よるになって、あたりがくらくなったのでげるには好都合こうつごうでした。ですが、わたし姿すがたがぱっとらされる。かわきしまでびて、土手どてをすべりりようとするとたん、ぱっと稲妻いなずまです。同時どうじにどんと一発いっぱつたまが、わたしのすぐうしろにひびいたーー」
「ああ、それだね、さっき銃声じゅうせいひびいたのは?」
「そうかもしれません。そのたまは、わたし肩先かたさきをひゅうとかすめてびました。とっさにわたしみずなかみ、必死ひっしみずをかいてこうぎしおよきました。そして、対岸たいがんしげみにもぐりんでしまうと、うしろの二人ふたりは、たしかにわたしんだものと見当けんとうをつけてかえしていきました。それから、やっとこの洞穴ほらあなにたどりいたのですがーーー」とイバンスははなわると、こえたかくして、
「さあ!このうえはみんなでちからわせて、あの悪者わるものどもを退治たいじしてしまいましょう。わたし一緒いっしょたたかいます!」それをいた少年しょうねんたちはよろこいさんだ。そして今度こんどは、少年しょうねんたちが、このしま漂流ひょうりゅうした顛末てんまつを、イバンスにはなしたのであった。