十五少年漂流記(22)

朗読「十五少年6-2.mp3」4 MB、長さ: 約 4分 23秒

11.ジャック動物どうぶつわれる

「えッ!」一同いちどうそのほうると、うごいているのは、まさしくジャックの姿すがたである。
「おおかえってた。ジャックだ!ジャックだ!」少年達しょうねんたち一斉いっせいよろこびのこえをあげた。
その距離きょりいちキロメートルあまりである。が、ジャックはスケートが得意とくいであるから、四五分しごふんもたたないうちに、ここへるはずだ。
そのときであった。望遠鏡ぼうえんきょうながめていたバクスターが、不意ふいたかおどろきのさけびをあげた。
「やッ、ジャックのあとになにかついてるぞ」
「えッ?なにがついてる?」みながると、なるほど四五十しごじゅうメートルおくれて、ふたつのくろかげがついてる。
ついてるというよりも、まっしぐらにはしってる。いかけてくる。一同いちどうあやしんだ。「なんだろうか?」
「おや、動物どうぶつのようだ」と、ドノバンが不意ふいに、「大変たいへんだ、おおかみだ!おおかみだ!」
ったかとおもうと、ドノバンはじゅうをとって、ジャックのほうした。はしりながら、つづけざまに二発にはつ弾丸だんがんった。と、もう動物どうぶつ方向ほうこうてんじて、やみなかってしまった。じつにドノバンの早業はやわざ素晴すばらしかった。意外いがいにもジャックをってたのは、二頭にとうおおきなくまだったのである。そんなおそろしい猛獣もうじゅうが、このしまんでいるとはおもいがけないことである。おそらくそのくまは、こおったうみうえわたってたか、または氷山ひょうざんせられてきたものであろう。とすれば、このしまからそうとおくないところに、あるいは大陸たいりくがあるのではなかろうか。
ジャックは最初東さいしょひがしかってドノバンあとさがしてったが、ちがいになって、ってもっても、二人ふたりことができなかった。するうち、きりふかくなって、自分じぶん方角ほうがくうしなった。やがて銃声じゅうせいいたので、かえしてくる途中とちゅう、ふいにあの二頭にとうくまいかけられたのであった。
さいわいにも、かれはスケートが得意とくいだった。それで、距離きょりたもちながらはしつづけることができた。しかし、もし一歩いっぽでもつまづいてたおれたが最後さいご、おそらくジャックはきてはかえれなかったであろう。
ブリアンはドノバンにかって、「ドノバンくんきみ心配しんぱいをかけたね、だからみんなとわかれてはいけないとったのに・・・。そのてんは、ぼくとしてはおおいにきみめなければならない。けれど、きみをなげうって、まっさきにジャックの危機ききすくってくれた。そのおん親切しんせつとは、けっして永久えいきゅうわすれないよ」
と、こころから感謝かんしゃいろかおにあらわして、ドノバンと握手あくしゅしようとした。
けれども、ドノバンは、ひややかなかおをして、「ぼくはただぼく義務ぎむをつくしたばかりさ」
てて、ブリアンがうやうやしくしたには、ゆびさえれなかった。
けて、すうっと洞穴ほらあなはいってしまった。