十五少年漂流記(18)

朗読「十五少年5-3.mp3」9 MB、長さ: 約 10分 06秒

9.ジャックの懺悔ざんげ

しまでの生活せいかつは、順調じゅんちょういとなまれてった。年長者組ねんちょうしゃぐみは、としあなるので、十一月じゅういちがついっぱいかかった。みずうみのほとり、はやしなか、いたるところにしっかりしたとしあなかけられた。
バクスターはちいさい子達こたちあつめてラマや、ヤギのために小屋こやてた。その材料ざいりょうは、スローごう船体せんたいからってきたいた使つかった。そのすみには鳥小屋とりごやつくって、七面鳥しちめんちょうや、野雁のがんきじなどをった。
この鳥類ちょうるいは、ジェンキンス、イバーソンといったちいさい子達こたち世話せわをすることになったので、ちいさなたちはもう大喜おおよろこび。おまけにちちたまごがとれるので、炊事係すいじがかりのモコーも、ほくほくしている。
ただひとつなくなりかけてこまったのは砂糖さとうだったが、それもゴルドンが、ある陥穽林かんせいりん散歩さんぽ途中とちゅうで、一本いっぽん砂糖さとう発見はっけんしたのですぐに解決かいけつした。そのみききずをつけるとしるる。それを煮詰につめると砂糖さとうがとれるのだ。
砂糖さとう砂糖さとう!」とうと、子供達こどもたちは、小躍こおどりしてよろこんだ。無理むりもない。そのころ砂糖さとうすくなくなっていたので、かれらは日曜にちよう祭日さいじつ食後しょくごのほかは、あまいものにありつけなかったのである。
それからおちゃがあった。そのかおりもあじもよく、日本にほんちゃにもおとらないほど、優良ゆうりょう天然物てんねんぶつだった。
ゴルドンはまた火薬かやく節約せつやくするために、たま使つかうことを提案ていあんした。バクスターやウイルコクスなどは、すぐにたま名人めいじんになった。それから、バクスターにいいつけて、とねりこのえだゆみつくらせたが、そのにはよし使つかい、やじりにはくぎ使つかって、成功せいこうした。
だが、十二月七日じゅうにがつなのか、どうしても、火薬かやく使つかわなければならないような事件じけんこった。それはきつねとジャッカルとが毎夜まいよのようにとしあなあみこわして、あなちている獲物えものうばってくからであった。これをおどすにはどうしても四五十個しごじゅっこ火薬包かやくづつみを用意よういしなければならない。そこでゴルドンは年長組ねんちょうぐみをしたがえて家族湖かぞくこのほとりできつねてくるのをった。
た、た、ろよ」ウイルコクスのゆびさすほうをると、雑草ざっそうかげあやしいかげうごいている。そして、三日みっかのうちに、じつ五十匹以上ごじゅっぴきいじょう動物どうぶつをとった。そして、そのおかげでその毛皮けがわ使つかって、たくさんの防寒具ぼうかんぐつくることができた。
十二月十五日じゅうにがつじゅうごにちには、ひさしぶりでスローわん訪問ほうもんすることになった。それはアザラシをとって、脂肪しぼうろうとおもったためである。脂肪しぼうたくわえものこすくなくなったので、それをおぎなうためだった。一同十五人いちどうじゅうごにんみんなそろってかけた。以前いぜんバクスターがつくったくるまを、ガーネットたちがらした二頭にとうのラマにひかせ、くるまうえには火薬かやくものてつおおなべ、だるせて、とともにいさましく洞穴ほらあなた。沼沢林しょうたくりんまでると、ドール、コスターははやくもつかれた。やむなくくるまうえせた。
沼沢林しょうたくりんなかに、一頭いっとうおおきなけものがいた。少年しょうねんたちが大勢おおぜい様子ようすると、悠然ゆうぜん潅木かんぼくしげみにはいってった。「なんだろう?」とドールがたずねた。
河馬かばだろう」とブリアンがおしえた。
十時過じゅうじすぎには、スローわん到着とうちゃくした。
はるかに浜辺はまべ見渡みわたすと、百頭ひゃくとうあまりのアザラシが、岩礁がんしょうあいだ出没しゅつぼつしている。一同いちどうは、むねおどらせながら、つつみかげにかくれてってった。ひとたことのないアザラシは、べつおどろ様子ようすもない。
そのすきんで、一隊いったい砂浜すなはまをめぐって、かれらのみちをふさいだ。そして、「それっ」という合図あいずとともに、一斉いっせいじゅう火蓋ひぶたってはなった。銃声じゅうせいと、砂煙すなけむり一時いちどきあがったとに、はやくも二十頭以上にじゅっとういじょうがばたばたとたおれた。あとは、右往左往うおうさおうすなうえまどい、うみなかんで姿すがたかくした。かれらは獲物えものおもったよりおおかったのをよろこび、かわのほとりでモコーがいわつくったかまどをいているところにはこび、大鍋おおなべ獲物えものて、脂肪しぼうことになった。その午後ごごから翌日よくじつ日暮ひぐれまで、一同いちどうわるわる煮続につづけたので、約二十頭やくにじゅっとうのアザラシから、じつ数百すうひゃくリットルのあぶらしぼることができた。
こうして三日みっかあさ一同いちどう野営地やえいちって、アザラシのあぶらはいったたるせ、くるまをラマにひかせ、たたかいにった凱旋軍がいせんぐんのように、意気揚々いきようよう洞穴ほらあなかえってたのだった。
クリスマスがちかづくのもたのしかった。ガーネットや、サービスのかかりで、クリスマスの準備じゅんびなにかとととのった。大小だいしょう国旗こっきうつくしく部屋中へやじゅうかざられ、よるがほのぼのめるとともに、オークランドおかには祝砲しゅくほうおとが、轟然ごうぜんこった。少年しょうねんたちはみな握手あくしゅをして「おめでとう」をった。だれかおよろこびにかがやいている。天候てんこう好天気こうてんきで、わたっている。一同いちどう湖畔こはん広場ひろばあつまって、目隠めかくし、かくれんぼなどのあそびにたのしくときごした。そしてふたたこえる鉄砲てっぽうおと合図あいずに、食堂しょくどうはいってると、テーブルには真白まっしろぬのがかかっていて、中央ちゅうおうには草花くさばなかざったびんなかに、クリスマスツリーをて、イギリス、フランス、アメリカ各国かっこく国旗こっきるしてある。

今日きょう昼食ちゅうしょく献立こんだては、
味付あじつけのアグーチ(ウサギにけもの
塩漬しおづけの鳥肉とりにく
・ウサギのあぶりにく
七面鳥しちめんちょう丸焼まるや
缶詰かんづめ野菜三種やさいさんしゅ
三角塔さんかくとうのプディング

このほか、葡萄酒ぶどうしゅとシェリーしゅがこれについていたし、食後しょくごにはおちゃや、コーヒーがついていたことは、いうまでもない。これはみんなモコーがサービスのをかりて、一週間いっしゅうかんまえから準備じゅんびしてつくった料理りょうりだった。
デザートにはいると、ブリアンはがって、総督そうとくゴルドンの功労こうろうをたたえ、その幸福こうふく祝福しゅくふくする意味いみ演説えんぜつをした。ゴルドンは、これにこたえて、このちいさな植民地しょくみんち繁栄はんえいいわい、ついで、一同いちどうをうながして、はるか故郷ふるさとにいる友達ともだち健康けんこうのために、さかずきをあげた。
「プロージット!」一同いちどう乾杯かんぱいをした。
最後さいごに、コスターは、ちいさいたちを代表だいひょうして、ブリアンが普段彼ふだんかれらに親切しんせつにしてくれるので、そのれいい、あわせてブリアンの幸福こうふく祝福しゅくふくする意味いみ演説えんぜつをしてさかずきげた。とし似合にあわぬ雄弁ゆうべんだったので、一同いちどう感動かんどうして、拍手はくしゅおくった。
が、ドノバン一人ひとりだまってうつむいていた・・・。
たのしいクリスマスもこうしてぎ、一週間後いっしゅうかんごには、一八六一年せんはっぴゃくろくじゅういちねん正月しょうがつむかえた。南方なんぽう緯度いどでは、正月しょうがつはつまりなつ最中さいちゅうである。かんがえてみると、十五少年じゅうごしょうねんが、ここに漂着ひょうちゃくしてから、はやくもじゅっ月過げつすぎたのである。一同いちどう冬篭ふゆごもりの準備じゅんびいそがしく、ドノバンやその仲間なかまは、家畜かちく小屋こや洞窟どうくつちかくへうつしたり、毎日まいにちりょうかけて、食料しょくりょうかえった。