十五少年漂流記(17)

朗読「十五少年5-2.mp3」8 MB、長さ: 約 8分 28秒

8.野獣襲来やじゅうしゅうらい

きろ!みんなきろ!」ばんをしているドノバンのけたたましいこえ
「それ!」と、一同跳いちどうはきると、「みんなこえるだろう?あのこえが!」と、ドノバンはゆびをさし、
野獣やじゅうだぞ!おそろしい野獣やじゅうえるこえだ!」
そうだ、すさまじいこえが、夜明よあけの空気くうきふるわせてこえる。ゴルドンはじいっとみみかたむけて「ジャッカルかな?それともクーガーかな?」といながら、一人頷ひとりうなずいて、
「だが、そうこわがることはないだろう。一斉いっせいおそってきたら危険きけんだが、なあに、えて、ここまでくるようなことはないだろう」というあいだに、ものすごいごえは、次第次第しだいしだいせまってくる。
フワンはたけかえってそうとするのを、ゴルドンは、やっとおさけた。おもうに、野獣やじゅう毎晩まいばんこのあたりのかわて、みずむのだ。それが今夜こんやは、少年しょうねんたちが野営やえいしているので、ちかづけない。それで、おこって、はげしくたけっているのだ。
二十にじゅうメートルほどまえやみなかに、ぴかぴかときらめいてえるのは、野獣やじゅうだ。そのすごいこと、すさまじいこと!いまにもこっちをめがけてびかかってそうだ。もう一刻いっこく猶予ゆうよはならない。
つぞ!」ドノバンがこえともに、一発いっぱつドンとってはなつと、パッとひらめひかりともに、銃声じゅうせいやみをつんざいた。けもの猛然もうぜん身構みがまえ、えるこえたかまる。
一同いちどうは、にピストルをかまえた。たてにしてがった。バクスターが、とっさの気転きてんで、えるえだって、けものむれなかんだ。そして、に、けものむれはやくもって、あとにはドノバンがった、一匹いっぴきのジャッカルだけが、ごろりと死体したいよこたえているばかりだ。
グロースは、すかしながら、「はやいね、もうみんなげてしまった」
「でも、また大勢おおぜいるかもしれないぞ」ウエッブがうと、
「なあに、大抵たいてい大丈夫だいじょうぶだ。が、用心ようじんしたことはない。だけはやさないようにしよう」と、ゴルドンはそうって、えだあつはじめた。だが、その翌日よくじつかえみち一行いっこうはとうとう一匹いっぴきおおきなけもの出会であった。ちょうどはやしにかかったときだった。不意ふいまえ木陰こかげから、一匹いっぴきおおきなけもの姿すがたあらわした。
野獣やじゅうだ!」一同いちどうじゅうかまえるもなく、バクスターは、得意とくいたまげた。ねらいは正確せいかくで、けものくびにからみついた。けれども、けもの非常ひじょうちからつよく、なわはしつかんでいるサービスをきずりきずり、はやしなかもうとする。ほか少年しょうねんたちはバクスターにちからわせて、なわはし大木たいぼくみきにぐるぐるときつけた。それで、やっとおおきなけものつなぎとめることができた。
ると、このおおきなけものはラマといって、ラクダの仲間なかまぞくする動物どうぶつだった。みなみアメリカの地元じもとひとたちのなかには、このラマをうま代用だいようにするものもある。性質せいしつ臆病おくびょうで、つなぎとめても、すこしも抵抗ていこうしないで、おおきな図体ずうたいをして、大人おとなしく少年しょうねんたちに引張ひっぱられてきた。
こうして、かれらの家族湖西岸かぞくこせいがん探検たんけんは、無駄むだではなかった。ヤギやラマを引張ひっぱってかえ一行いっこうると、留守るすのブリアンたちは、
万歳ばんざい万歳ばんざい万歳ばんざい!」と、歓喜かんきこえをあげた。そして、十五人じゅうごにんたがいにって、たがいの無事ぶじしゅくしあった・・・。ところで、ゴルドンの留守中るすちゅう洞穴ほらあな事務じむはすべてブリアンの処理しょりされ、ちいさい子達こたちも、ブリアンになつき、ことをよくいていたのだが、ここにただひとつ、ブリアンのがかりなことは、おとうとジャックの素振そぶりだった。
そこで、ブリアンは、ゴルドンたちの留守るすさいわい、おとうとひとのいないところんで、おだやかに、
「ジャック、おれは不思議ふしぎでならないんだがなあ」とふうした。
「なにが?にいさん」ジャックは、をそらしながら、いた。
「だって、そうじゃないか。きみ様子ようすは、どうもへんだよ。いつもそうやってふさいでいてさ、そのうえ、みんなにかおられるのをけようけようとしているじゃないか」
「そんなことはありません」ジャックはせた。
ブリアンはんで、「ジャック、きみはどうしてそうかくごとをするんだい。ぼくきみにいさんじゃないか。ぼくきみがそんなにしずんでいるのをてはいられないんだよ。だから、ぼくとしては、どうしてもきみがふさいでいるわけりたいんだ。ジャック、なぜきみはそんなにかなしそうにしているんだい・・・?」
やさしくかたいていたわるようにうと、ジャックもたまらないように、
にいさん、なぜって、ぼくはーーにいさんだけならぼくつみゆるしてくれるでしょうけど、ほかのみんなは・・・」
それだけって、ジャックはした。いて言葉ことばつづかないのである。ただ、
ゆるしてください、ゆるしてください」とだけった。
ブリアンはますますにかかった。不安ふあんになった。「けど、ほかのみんなは・・・という言葉ことばは、一体何いったいなに意味いみしているのだろう。
一体いったい、ジャックは、ほか少年しょうねんたちにたいして、どんなおおきなつみおかしているのであろう?「よし、ぼくはどんな犠牲ぎせいはらっても、おとうとにどうしても告白こくはくさせて、びなければならないものならば、ほかのみんなにびさせなければならない!」ブリアンはそうかたこころめた。そこで、ゴルドンのかえるのをちかねて、おとうととの会話かいわをひそかにけて、ちからりようとした。
すると、ゴルドンはれいかんがぶか様子ようすで、「いや、それは無理むり強制きょうせいしないほうがいいだろう。ジャックのことだもの、いつもの子供こどもらしい悪戯いたずらかなんかして、ほかのみんなにすまないすまないとおもっているのだろうから、けっして無理強むりじいはしないほうがいいよ」とった。