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<今回の音声は。。。>
聊斎志異、連載43回目です。
今回は五巻から、
・捉狐射鬼
・霍生
・張誠
・折獄
・折獄二
・狐妾以上6つの話を読ませていただきました。
聊斎志異43【読書ノート】
2021.12.4 書き込み
朗読は「声に出して読む読書」です。読書をしたらアウトプットをすると、作品に対する理解が深まり、より作品を楽しむことができるそうですよ。
武葉槌なりの「読書ノート」、お楽しみください。ネタバレもありますので、情報を入れずに聞きたい方はご注意ください。
↓ 読書ノートを朗読した音声です。
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「ryd043_ryosai-note43.mp3」6MB
捉狐射鬼
【あらすじ】
李著明公は気の強い、物を恐れない人だった。夏には親戚の王先生の家に避暑に行くことにしていた。王家では時々怪異を見ることがあったが、公は気にせず一人で泊ると…。
李さんが見た怪異の話。二つの怪異が紹介されていますが、どちらもかわいらしい怪異です。気の強い李さんをからかったのでしょうか。
霍生
【あらすじ】
霍秀才と厳秀才は幼なじみで、お互いに相手をだましあっていたずらをしていた。ある時、霍秀才は厳秀才の妻の秘密を知り…。
これはいたずらにしてもやり過ぎでしたね。そもそも産婆さんの口が軽いのが、不幸の始まりでした。産婆さんは色々なものを目にするのだから、口が堅くないとだめだと思います。
言っていいことと悪いことの区別って大事ですね。ほんの噂話のつもりが、死人が出るほどの大事になってしまうんですから。
張誠
【あらすじ】
予州(今の河南省)に住む張は、斉(今の山東省)の人だった。戦に巻き込まれて斉が乱れたときに、妻を兵士に奪い去られてしまう。
そこで安全な予州に移り住み、妻をもらい息子の訥(とつ)が生まれるが、息子が生まれて間もなく二人目の妻は死んでしまった。さらに三人目の妻をもらい、息子の誠が生まれる。
三人目の妻の牛(ぎゅう)は、腹違いの息子訥を憎み、虐待をしていた…。
継母がいじわるをする話ですが、この話にはさらにひねったところがあります。張さんに妻が三人いるところがキモですね。
途中、「あの世に行く巫女」が出て来ますが、これは中国で「走無常(そうむじょう)」と言われるもの。地獄の鬼は人が死ぬと迎えに来るのですが、人手が足りないときに生きた人を代役として使うことがあります。その代役を「走無常」と呼ぶそうです。
走無常はある日突然ばったりと倒れて死んだようになるのですが、半日~2日たつと生き返ります。往来の人も家族の人も慣れたもので、そのうち生き返るだろうと平気で待っていると言うからびっくり。
訥が亡くなって迎えに来たのが、この村の巫女「走無常」だったんですね。
折獄
【あらすじ】
ある商人が道で人に殺されていた。次の日その妻が首をくくって死んでしまった。商人の弟はすぐに役所に訴えたが、犯人は見つからなかった…。
タイトルの「折獄」は「判決を下すこと、またはその判決」の意味があります。今回の話は、日本でいう「大岡裁き」や、名探偵みたいなものですね。
折獄二
【あらすじ】
胡と言う人が、ある日酔っぱらって「自分は大商人を殺して金を奪い、商人を井戸に突き落とした」と嘘をついた。その話を聞いた同じ村の馮(ひょう)が、役所に訴えた。調べてみると本当に井戸の中に死体があり、胡は殺人犯として疑われるが…。
一つ前の話のパート2で、同じ人の話です。名探偵はやはり観察眼がすごいですね。初めから真犯人の目星はついていたけれど、はっきりした証拠が出るまで泳がせておくのもなかなか。
狐妾
【あらすじ】
劉長官が役所に座っていると、四人の女の狐が現れる。数日後、末の狐が年長の狐に連れられてやってきて、面倒を見てくれという。
よく見ると非常に美しい娘だったから、劉長官はそのまま仲良くなってしまう。この狐は元は前長官の娘の霊で、狐たちに生き返らせられたのだという…。
狐のような、狐でないような不思議な娘の話です。狐はやはり未来を見たり、どこへでも自由に移動したりできるようですね。
婿のくだりはちょっとわかりにくいです。なぜ10日後に会ったのかよく分かりませんし、10日待たせた割に、婿にとっては少額の20両しか与えていません。
これは最初はお金がなかったので、10日待たせてその間にお金を用意しようと思っていたようです。街の金庫からお金を持ってこようと思ったが、洪水になっていたためにあまりたくさん持って来れなかったんですね。
いずれにせよ婿には福がないので、たくさん与えてもしょうがないと皮肉を言っています。婿さん、嫌われましたね。
「聊斎志異」について
「wikipedia」より
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聊齋は蒲松齢の号および書斎の名である。
『聊齋志異』とは「聊齋が異を志す」の意味。
内容は神仙、幽霊、妖狐等にまつわる怪異譚。
当時世間に口伝されていたものを収集して文言小説の形にまとめたものである。
作者の没後約半世紀を経て刻本として上梓された。
版本によって異同があるが、およそ500篇の作品を収録している。
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蒲松齢 作
柴田天馬 訳
昭和30年、角川書店発行、「完訳 聊斎志異」全八巻を一巻から順番に読ませていただいています。
差別的な表現などは言い換えたり、飛ばしても意味の通るものは飛ばしてよんでいます。あらかじめご了承ください。