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<今回の音声は。。。>
聊斎志異、連載42回目です。
今回は五巻から、
・大男
・画馬
・鏡聴
・八大王
・浙東生
・一員官
・黄英以上7つの話を読ませていただきました。
聊斎志異42【読書ノート】
2021.12.1 書き込み
朗読は「声に出して読む読書」です。読書をしたらアウトプットをすると、作品に対する理解が深まり、より作品を楽しむことができるそうですよ。
武葉槌なりの「読書ノート」、お楽しみください。ネタバレもありますので、情報を入れずに聞きたい方はご注意ください。
↓ 読書ノートを朗読した音声です。
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大男
【あらすじ】
奚成列は学者だったが、妻が亡くなり、新しく来た本妻と妾の折り合いが悪かった。本妻は妾をいじめたり、奚に妾の愚痴を言ったりしてひどく奚を困らせた。そこで怒った奚は家出をし、そのあとで妾は妊娠を知り男の子を生む…。
なかなかドラマチックな話ですね。肉付けしてボリュームを増やしたら、ちょっとした連続ドラマの台本としてそのまま使えそうなくらいの完成度だと思います。
昔の中国ではお金で女性をやり取りするのが普通だったのは恐ろしい。日本でも娘を売るのは最近まで普通でしたから、現代に生まれて本当によかったなあと思いますよ。
画馬
【あらすじ】
貧乏な崔の家に、いつも朝起きると立派な馬がいた。追い返しても夜のうちにやってきて、朝になると庭に寝ていた…。
不思議な話ですね。この馬は崔のことが気に入って、出世させてやろうと思ったのか、単に自由になりたかったのか。馬の考えはわかりませんが、とりあえず八方うまく収まって良かったですね。
鏡聴
【あらすじ】
兄弟で優秀な兄ばかり両親がかわいがっていた。その妻も、兄の妻はかわいがられていたが、弟の妻は差別されていた。弟の妻は悩んで「鏡聴」という鏡占いをしてみると…。
タイトルになっている「鏡聴」と呼ばれる占いの方法は、一枚の鏡を錦の袋に入れて、人に見られないように1人で7回呪文を唱えます。そしてそのあと最初に聞いた人の言葉で、吉凶を占うのだそうです。
弟の妻が最初に聞いた言葉は「涼みに行ってきな」だった訳です。この言葉だけでは確かに吉なのか凶なのか、占い師でない妻にはさっぱりわかりませんね。
日本ではこの鏡占い、「帝都物語」や漫画「xxxHOLiC」などでも「鏡聴」として紹介されています。
ちなみに、2022年4月に「xxxHOLiC」は、神木隆之介さんと柴崎コウさん出演で実写映画化されるそうで…。実写化って微妙なことが多いですが、今回はどうなんでしょうか。
八大王
【あらすじ】
貴族の子孫で、今ではすっかり落ちぶれてしまった馮という秀才がいた。馮の家に借金のあるすっぽん漁師がいて、いつもすっぽんを借金の代わりに持ってきた。ある時馮は額に白い星の形の模様があるすっぽんを、珍しいと言って川に放してやった…。
「すっぽんの恩返し」ですね~。馮が持っていた美女の姿を映す鏡ですが、これは今でいう写真かなと。スマホの待ち受け画面みたいな感じですかね。
今では別に珍しくないものですが、当時一体どこからそんなものを手に入れたんでしょう。未来から来たタイムトラベラーが落としたものか、宇宙から来た人が残したのか、はたまた現在の人類の前に繁栄していた一世代前の人類の遺物か…。
考えると不思議ですね。
ところで、柴田天馬先生の注釈の中にお話が書かれていたのでご紹介。
「如願の話」(異伝録より)
廬陵の歓明は商売に行く途中、彭沢湖を渡るたびに舟の中にある物を湖の中に投げ入れていた。ある時、一人の役人が来て「青洪君があなたのご親切に感謝し、私をお迎えにつかわした」と言った。
明がひどく恐れるのを見て、その男は「恐れることはありません。何かを贈ると言われたら受け取らずにただ如願をくれ、と言いなさい」と注意して連れて行った。
明は青洪君に会い、役人に注意されたとおりに如願が欲しいというと、青洪君は自分の侍女を明に与えた。この侍女の名前が如願だった。
如願を連れて帰ると、それ以来欲しいものは必ず手に入るようになった。明はたちまち巨万の富を手に入れ、大金持ちになったという。
浙東生
【あらすじ】
浙東の房は陝西(せんせい)に旅をしていたが、貧乏で帰ることができずにいた。ある日お腹の上に犬くらいの獣が落ちてきて…。
しゃれた狐の話ですね。「胆力」というのは、度胸があるとか、物事を恐れないといった意味です。
房さんは自分に胆力があるといばっていたので、狐に試されたのでしょう。あまり自慢するものではありません。
一員官
【あらすじ】
済南の役人の呉公はまじめで一本気な人だった…。
「まじめで一本気な性格」となっていますが、このお話の本来のテーマは「人情の無い人について」です。
普通の人には情があるから同僚をみんなで助けようと考えるが、この呉さんには情が無いので正論ではねつける。
また後半に出て来る張公も、まじめで融通の利かない人であると書かれています。まじめなのは良いことなのでしょうが、度が過ぎると孤独になりかねないですね。
自分も融通の利かない人なので、気を付けたいと思います。
黄英
【あらすじ】
馬子才は代々菊が好きで、いい種があれば遠いところにでも買いに行った。ある時いい種があると聞いて金陵まで種を買いに行った帰りに、菊に詳しい少年とその姉に会う。二人は馬の家に間借りをすることになるが…。
美しい話ですね、菊好きの貧乏な男を助ける姉弟。その正体は…。という素敵なファンタジーです。
黄英のセリフに「陳仲子お疲れではありません?」とありますが、陳仲子は清廉な人だそうです。
兄が宰相になって豪華な暮らしをしているのを嫌い、楚の国に行ってつつましく暮らしていました。楚王が陳を宰相にしようとしたら、逃げてどこかの花園に水をやって働いていたと言われています。
孟子はこの陳仲子を「兄を不義として嫌う一方で、妻の作る料理や妻の家の来歴などは一切問わなかった。それは首尾一貫していない」と言いました。
さらに孟子は「陳仲子のような人は、みみずのように水や土だけを食べて暮らして、やっとその節操を守ることができるのだ」と批判しています。馬はそのことを黄英に言われて自分を恥じたのでしょう。
もう一つ黄英のセリフに「東食西宿ね」との言葉があります。これは欲深い人が少しでも多くの利益を得ようとする意味があります。
東食西宿の話
斉に1人の女がいた。東西2つの家から求婚されたため、母がどちらを選ぶかと聞いた。女は「東家で食べて西家に宿泊したいと思います」と答えた。
東家の息子は醜く、西家は貧しかったのである。
「聊斎志異」について
「wikipedia」より
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聊齋は蒲松齢の号および書斎の名である。
『聊齋志異』とは「聊齋が異を志す」の意味。
内容は神仙、幽霊、妖狐等にまつわる怪異譚。
当時世間に口伝されていたものを収集して文言小説の形にまとめたものである。
作者の没後約半世紀を経て刻本として上梓された。
版本によって異同があるが、およそ500篇の作品を収録している。
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蒲松齢 作
柴田天馬 訳
昭和30年、角川書店発行、「完訳 聊斎志異」全八巻を一巻から順番に読ませていただいています。
差別的な表現などは言い換えたり、飛ばしても意味の通るものは飛ばしてよんでいます。あらかじめご了承ください。