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<今回の音声は。。。>
聊斎志異、連載41回目です。
今回は五巻から、
・王成
・夢別
・蟄龍
・巧娘
・彭二掙
・李司鑑以上6つの話を読ませていただきました。
聊斎志異41【読書ノート】
2021.11.27 書き込み
朗読は「声に出して読む読書」です。読書をしたらアウトプットをすると、作品に対する理解が深まり、より作品を楽しむことができるそうですよ。
武葉槌なりの「読書ノート」、お楽しみください。ネタバレもありますので、情報を入れずに聞きたい方はご注意ください。
↓ 読書ノートを朗読した音声です。
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「ryd041_ryosai-note41.mp3」8MB
王成
【あらすじ】
王成は旧家の子孫だったが、ものぐさで仕事をしなかったために、すっかり貧乏になっていた。ある日かんざしを拾うと、それを探すおばあさんに会う。おばあさんは昔、王成の祖父の妻になった狐だった…。
お話の中に出て来る鶉(うずら)を闘わせる競技、今はもう中国では行われていないようです。けれどもアラブの遊牧民などの間では現在でも盛んなのだそうですよ。
鶉は闘っても小さな怪我はするものの、めったに死なないので、持ち主は死ぬまで大事に飼い続けるものだと言います。
ちなみに鶉のオスは通常7~8年、長いものは10年以上の長生きをします。メスは短命で、平均2~3年しか生きないのだとか。
最近日本でペットとしても人気がある鶉ですが、オスとメスでは随分寿命が違うのですね。飼うならオスの方が長く一緒にいられそうです。
夢別
【あらすじ】
玉春李先生は自分の大叔父の玉田公と仲が良かった。ある日、夢に公が出てきて…。
いわゆる「夢枕に立つ」話ですね。最初の方に「玉春李先生のおじいさんは」とありますが、文脈から言って先生本人の話と思われます。ちょっとわかりづらいですね。
この話は本文より長い注釈がついていて、二つのエピソードが紹介されています。
1.玉春李先生のお父さん「敬一公」の話(「済南志」より)
敬一公は穏やかできちんとした性格だった。兄と一緒に住んでいたが、仲たがいをしたことが無かったし、甥の結婚などは自分の子供のように親身になって世話をした。
ある日遠くへ旅行するので親戚の某に留守番を頼んだ。某は20両の金を盗んで地下に埋め、何食わぬ顔をしていた。
すると使用人の王孟夏が偶然それを掘り出したため、盗みがばれてしまった。公は別に金を用意して発見した王孟夏に与え、某には掘り出した20両を与える。
公は「自分は前からお前に家を持たせたいと思いながら、ついぐずぐずして今日になってしまった。しまってあった金はもともとお前にあげようと思っていた金だったんだよ。」と諭したそうである。
2.巨卿と棺の話(「後漢書 独行伝」より)
范式は字(あざな)を巨卿と言い、汝南の張劭、字を元伯という人と親友だった。ある夜式の夢に元伯が来て、「自分は何日に死んで、何時に葬式を出すから、自分のことを忘れないなら来てくれ」と言った。
式は目を覚ますとすぐに出かけたのだが、式がまだ着かないうちに葬列は家を出て墓地に向かっていた。そして墓穴の近くまで来ると、棺は重くなり、どうしても動かなかった。
で、みなが怪しんでいると、向こうから白い車を白い馬に曳かせて泣きながら駆けて来る人があった。母親はその遥かな姿を見て、「あれはきっと范巨卿だ」と言ううちに、巨卿はもう棺の側に来て車を飛び降り、泣きながらお辞儀をした。
そして「行こう!元伯!死と生とは世界が違う。これが二人の永い別れだ!」と言って、棺の綱を引いた。すると今まで重くて動かなかった棺が軽々と墓穴に進んだそうである。
蟄龍
【あらすじ】
暗い雨の日、於陸曲公が読んでいた本に小さな虫のような物が這っていた…。
「蟄」の字には、虫が土の中にこもるとか、隠れると言った意味があります。タイトルの「蟄龍」は「隠れていた龍」というようなニュアンスでしょうか。
敬ってやらないとヘソを曲げるところが、ちょっとかわいらしい感じがします。
巧娘
【あらすじ】
広東に廉という名の青年がいた。廉の家は金持ちで本人はとても賢く、見た目も良かったけれど生殖能力が無かったために嫁に来る人はいなかった。ある日廉が塾を飛び出してぶらついていると、美しい娘に手紙の配達を頼まれた…。
この話は大人向けの話ですね。例によって狐の実力は計り知れません。どんな病気も治してしまう薬とか、すごいです。
彭二掙
【あらすじ】
韓公があるとき同郷の彭二掙といっしょに歩いていると、彭の姿がいきなり見えなくなった…。
彭さん、狐にこんなことをされるなんて、どんな悪いことを狐にしたんだか。ただのいたずらにしては手が込んでいるから、かなり恨まれるような何かをしたのかもしれません。
しかし彭さんには気の毒だけど、この様子を想像したら笑ってしまいました。狐さん、なかなかやりますな。
李司鑑
【あらすじ】
李は長いこと学人であったが、妻を殴り殺したので役人に調べられることになっていた…。
「学人」というのは、学者、または仏教の修行をする人の二つの意味があるようです。文脈から推測すると、このお話の李さんは偉い学者の身分だったと考えるのが良さそうです。
自分の身分を笠に着てさんざん悪事を働いた末に、神によって罰せられたのでしょうか。ブルブル…。
「聊斎志異」について
「wikipedia」より
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聊齋は蒲松齢の号および書斎の名である。
『聊齋志異』とは「聊齋が異を志す」の意味。
内容は神仙、幽霊、妖狐等にまつわる怪異譚。
当時世間に口伝されていたものを収集して文言小説の形にまとめたものである。
作者の没後約半世紀を経て刻本として上梓された。
版本によって異同があるが、およそ500篇の作品を収録している。
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蒲松齢 作
柴田天馬 訳
昭和30年、角川書店発行、「完訳 聊斎志異」全八巻を一巻から順番に読ませていただいています。
差別的な表現などは言い換えたり、飛ばしても意味の通るものは飛ばしてよんでいます。あらかじめご了承ください。