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<今回の音声は。。。>
聊斎志異、連載40回目です。
今回は五巻から、
・銭卜巫
・陸判
・鄱陽神
・山市
・褚生
・濰水狐
・竇氏以上7つの話を読ませていただきました。
聊斎志異40【読書ノート】
2021.11.24 書き込み
朗読は「声に出して読む読書」です。読書をしたらアウトプットをすると、作品に対する理解が深まり、より作品を楽しむことができるそうですよ。
武葉槌なりの「読書ノート」、お楽しみください。ネタバレもありますので、情報を入れずに聞きたい方はご注意ください。
↓ 読書ノートを朗読した音声です。
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銭卜巫
【あらすじ】
夏商の父は大金持ちで贅沢をしていた。肉まんじゅうの耳を捨てて辺りにまき散らすなど平気でやり、そのため年を取ってからは貧乏になった。
父は死ぬときに「自分は物を粗末にしたために、飢え死にをするようなことになった。お前は正直に暮らして、父の過ちをつぐなってくれ」と商に言い残した…。
タイトルの「銭卜巫」は、お金を使って占いをする巫女のことです。占い師にはいろいろな人がいて、中にはインチキ臭いのもありますが、この巫女はなかなかの達人ですね。
自分もこの巫女に占ってほしいです。
ところで当たる占いと言えば、遠野物語の104番に「月見」という占いの行事についての記述があります。これは6つのクルミを半分に割って12個にして、クルミを焼くことで次の年の農業の予定を決めるものです。
不思議なのは村中どの家でやっても同じ結果が出るところ。陰陽道が元になっているそうです。他の地方でもいろいろなバリエーションで行われたようなので、かなり信頼性があったのでしょう。
※「遠野物語 104番」(柳田国男作)は現代語訳したものを朗読しています。遠野地方の都市伝説集のような本ですので、興味のある方は聞いてみてくださいね。

陸判
【あらすじ】
朱は豪快な男だったものの、あまり勉強は得意でなかった。ある時仲間が色々と恐ろしい噂のある木像を持って来たらごちそうするというので、朱はすぐにその木像を背負ってきた。
あまりに恐ろしい木像に驚いたみんなは、すぐに木像を元の所に返すように言った。朱は木像に「気の向いたときは、僕の家に飲みに来てください」と話しかけ、元の場所に木像を戻したのだが…。
THEゆうれい談です。でも怪談のような怖い感じはあまりしません。
ちょっと自分の想像ですが、陸さんは実は未来から来た腕のいい外科医で…、というと、マンガかテレビドラマの設定のようですね。わはは。
鄱陽神
【あらすじ】
役人の翟は赴任の道中、湖の中にある社(やしろ)へ船で行って見物した。木彫りの巨像がたくさん並ぶ中に、自分と同じ名前の像が末座に置かれているのを見た翟は…。
翟さんの訪れた「普郎死節(ふろうしせつ)」の社は、元(げん)時代の中国にいた軍人「丁普郎」にまつわるものです。
鄱陽湖の戦いに参加した丁普郎は多くの傷を受け、さらに首を切られたにも関わらず、立ったままだったと言います。まるで「弁慶の立往生」のようですね。
戦死した丁普郎は忠臣とあがめられて、同じく鄱陽湖の戦いで戦死した35人と一緒に祠に祀られたそうです。この35人の中に「翟」という名字の人がいたんでしょうね。
ちなみに弁慶は源義経の家来で、頼朝に追われるようになった義経を守るために、立ったままその身に大量の矢を受けて絶命したと言われています。現在でも使われる「立往生」はこのエピソードが元になっているそうですよ。
山市
【あらすじ】
奐山に現れる「山市(蜃気楼のこと)」は、数年に一度見えるか見えないかだ。以下は孫萬年公子の目撃情報。それは…。
蜃気楼って本当不思議ですね~。この時見えていた街ってロシアとか、遠くヨーロッパの街だったのかもしれません。
蜃気楼を見た人が、この街に死者が住んでいるに違いないと考えたのも面白いですね。聊斎志異ではおなじみですが、死者も生きている人と同じように普通に街に住んで、生活したり子供を作ったりしていると考えていたようです。
同じように山で見られる気象現象に「ブロッケン現象(ブロッケンの怪物)」があります。光や水の細かい粒の加減で、自分の影がまるで巨人が現れたように見える現象です。
日本でも「だいだらぼっち」と呼ばれる、山や湖に現れる巨人の妖怪がこのブロッケン現象ではないか、との説があります。
※ブロッケン現象については田中貢太郎作「天狗の面 7」の121番にエピソードがあります。こちらのページで朗読していますので、興味のある方はどうぞ。他にも戦争前後の日本の都市伝説や怪談がいっぱい入っている短編集です。

褚生
【あらすじ】
陳という役人がまだ若いころの話。塾の同級生に褚という仲良しがいた。褚は貧乏で学費を払うのに苦労していたから、陳は時々学費を助けていた…。
恩返しの話ですね~。ネタバレすると面白さが半減するので書けませんが、不思議な話です。
昔は芸者さんと遊ぶのにも詩の知識などが必要で、風流とはまったく縁のない自分は「こりゃあ面倒な時代だったんだな~」と思ったりします。
日本でも昔は一流の芸妓さんともなれば、あらゆる知識があって、美人で頭のいい人が多かったようです。ただ顔がきれいなだけでは一流になれないものだったのですね。
濰水狐
【あらすじ】
濰県の李の別荘を借りたいという老人は、ポンと1年分の家賃の50両を払っていった。知らない間に別荘に引っ越していた老人は…。
ポンと1年分の家賃を払うなんて太っ腹な狐ですね。日本の昔話だと、後で確認したらお金が木の葉に変わっていた…なんてことが多いですが、この話ではそんなことがないようです。
金持ちで物知りな狐って、なんだかすごいですね。自分も知り合いになりたい。
竇氏
【あらすじ】
大家で金持ちの南は、別荘に行く途中で雨宿りをした農家の娘が気に入り、その家に足しげく通うようになる。ある日主人が留守の時に、娘に手を出そうとするが…。
男女のドロドロものですね。怪談には多いジャンルです。日本にも多くドロドロものはあり、一番有名なのはやはり「四谷怪談」でしょうか。
たいていどの話でも、悪い男が出て来ますね。こういう話で気の毒なのは、何の罪もない、たまたま男と一緒にいてひどい目に合う娘たち。
別に男のたくらみに加担した訳でもなく、ただ運悪く巻き込まれただけの娘たちこそ、最大の被害者ではないかと思います。
「聊斎志異」について
「wikipedia」より
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聊齋は蒲松齢の号および書斎の名である。
『聊齋志異』とは「聊齋が異を志す」の意味。
内容は神仙、幽霊、妖狐等にまつわる怪異譚。
当時世間に口伝されていたものを収集して文言小説の形にまとめたものである。
作者の没後約半世紀を経て刻本として上梓された。
版本によって異同があるが、およそ500篇の作品を収録している。
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蒲松齢 作
柴田天馬 訳
昭和30年、角川書店発行、「完訳 聊斎志異」全八巻を一巻から順番に読ませていただいています。
差別的な表現などは言い換えたり、飛ばしても意味の通るものは飛ばしてよんでいます。あらかじめご了承ください。