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<今回の音声は。。。>
聊斎志異、連載37回目です。
今回は四巻から、
・真生
・小梅
・男妾
・西僧
・小人
・秦檜
・湘裙以上7つの話を読ませていただきました。今回で四巻は終了、次回からは五巻に入ります。
聊斎志異37【読書ノート】
2021.11.07 書き込み
朗読は「声に出して読む読書」です。読書をしたらアウトプットをすると、作品に対する理解が深まり、より作品を楽しむことができるそうですよ。
武葉槌なりの「読書ノート」、お楽しみください。ネタバレも少しあると思いますので、情報を入れずに聞きたい方はご注意ください。
↓ 読書ノートを朗読した音声です。
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真生
賈(か)という男が真というすっきりした男を気に入り、仲良くなった。真は不思議な術を使うのを見て賈は教えてくれと言うが、真は教えてくれなかった…。
前半の話で、賈のセリフに「管仲(かんちゅう)の貧乏なのを知ってくれる、鮑叔(ほうしゅく)」とあります。故事で「管鮑(かんぽう)の交わり」との言葉があり、管仲と鮑叔の友情をたたえています。
柴田天馬先生の注釈によると、史記にこういう文章があるそうです。
自分が貧しいのを知っていたからだ。自分がかつて鮑叔のためにあることを計画して、かえって困るようになったが、鮑叔は自分を愚かだとは思わなかった。
利と不利のあることを知っていたからだ。自分は三度仕官して三度とも放逐されたが、鮑叔は自分を役に立たぬ者とは思わなかった。
自分が時に合わなかったのを知っていたからだ。
自分は三度戦って三度とも敗走したが、鮑叔は自分を卑怯とは思わなかった。
自分に老母のあることを知っていたからだ。
自分を生んだのは父母だ。
自分を知ってくれる者は鮑叔だ。」
管仲は春秋戦国時代に斉の名宰相だった人です。
鮑叔は管仲と小さいころから仲良しで、管仲を斉の恒公に推挙しました。その後管仲は宰相にまで出世しますが、二人の友情は生涯にわたって続いたそうです。
小梅
【あらすじ】
王は金持ちの息子だった。ある時見知らぬおばあさんに頼まれて、もうじき死刑になるという彼女の息子を助けるが、なんと息子の親は随分前に死んだことが分かる…。
今回も狐の出て来るお話ですね。相変わらず狐は不思議な術を使い、未来を予知する力などもあってすごいです。
これだけの力があっても、狐は人間から隠れて暮らしていますね。仙人や道士なども隠れていますが、これは普段は人間とは別な次元で暮らしているってことかもしれません。
人間には見つけられないところに暮らしているってことは、どこかに次元の入り口があって、そこを行き来してると考えると面白いですね。
男妾
【あらすじ】
ある役人が美しい娘を気に入り、大金を払って見受けするが…。
ちょっとコメントしにくいお話ですね。役人の友人が男色の人だったのか、それとも単に少年を気に入って連れて行ったのかによって解釈&少年の幸不幸が分かれますね~。
私としては単に男の子として気に入り、少年を育ててくれた、と考えたいところですが…。
西僧
【あらすじ】
西国の和尚が二人住んでいた。彼らの話はまるで西遊記に出て来るような話だった…。
西国はヨーロッパのことではなくてインドのことですね。中国の人は西国から来た人の話を聞いて想像をふくらまし、同じようにインドの人は中国から来た人の話を聞いていろいろな想像をするという。
実際にはどちらもそう変わりはないけれど、行ったことのない土地に対する憧れはこういうことなのでしょう。
以前西遊記の朗読をしましたので、興味のある方はお聞きください。長い話ですが子供用のテキストなので、気楽に楽しめると思います。

小人
【あらすじ】
手品師が小さい人の入った箱を見せ物にしていた。役所でこれをよく調べると…。
怖い話ですねー。日本でも少し前までは、子供や若い女性がさらわれるのは普通にありましたね。もしかして報道されないだけで今でもかなりあるかもしれません。
お隣中国では一人っ子政策の関係で、男の子がさらわれる事件が多いそうで。さらう人はビジネスとしてやっているというのですから、恐れ入ります。
秦檜
【あらすじ】
馮中堂の先祖は秦檜(しんかい)に殺されたため、中堂は岳飛(がくひ)を尊敬して岳王殿を立て、秦檜らがひれ伏す像を作ってそこに置いた…。
この話に出て来る秦檜、えらい扱われようです。秦檜は中国の南宋の宰相で、自らの権力を守るためにさまざまな悪事を働いたために、その名は「売国奴」「奸臣中の奸臣」などとして広く知られています。
岳飛は同じ南宋の忠臣で、秦檜のたくらみによって無実の罪を着せられ、謀殺された人です。岳飛は人気があって、本に書かれたりテレビドラマになったりしています。
・「岳飛伝」北方謙三
・「岳飛伝 THE LAST HERO」2013年、中国のテレビドラマ
湘裙
【あらすじ】
晏仲(あんちゅう)は兄の伯と仲が良く、一緒に暮らしていた。伯は30歳の若さで亡くなり、子供もおらず妻も続けて亡くなってしまった。仲は悲しみ、自分に二人男の子ができたらそのうちの一人を兄の跡継ぎにと考えていたのだが…。
中国の古典には幽霊が人間になる話が多いですね。肉を食べて日光を浴びると、人間になれるなんて便利ですけど。
びっくりするのはあの世で普通にこの世と同じような生活をしてて、子供も生まれたりしてるところです。中国のあの世って、日本とは違うのですね。
日本では昔話や怪談を見ても、幽霊が人間になる話はあまり見かけないようです。これもお国柄というのでしょうか。面白いですね。
「聊斎志異」について
「wikipedia」より
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聊齋は蒲松齢の号および書斎の名である。
『聊齋志異』とは「聊齋が異を志す」の意味。
内容は神仙、幽霊、妖狐等にまつわる怪異譚。
当時世間に口伝されていたものを収集して文言小説の形にまとめたものである。
作者の没後約半世紀を経て刻本として上梓された。
版本によって異同があるが、およそ500篇の作品を収録している。
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蒲松齢 作
柴田天馬 訳
昭和30年、角川書店発行、「完訳 聊斎志異」全八巻を一巻から順番に読ませていただいています。
差別的な表現などは言い換えたり、飛ばしても意味の通るものは飛ばしてよんでいます。あらかじめご了承ください。