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<今回の音声は。。。>
聊斎志異、連載36回目です。
今回は四巻から、
・向杲
・郭秀才
・賈児
・義鼠
・金陵女子
・丁前渓
・庚娘以上7つの話を読ませていただきました。
武葉槌の読書ノート
2021.11.03 書き込み
朗読は「声に出して読む読書」です。読書をしたらアウトプットをすると、作品に対する理解が深まり、より作品を楽しむことができるそうですよ。
武葉槌なりの「読書ノート」、お楽しみください。ネタバレも少しあると思いますので、情報を入れずに聞きたい方はご注意ください。
↓ 読書ノートを朗読した音声です。
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「ryd036_ryosai-note36.mp3」8MB
向杲
太原の人「向杲(こうこう)」には仲のいい兄がいた。兄は両想いの妓廊の女、「波斯(はし)」を見受けして妻にした。ところが波斯に横恋慕する金持ちが兄に言いがかりをつけて…。
郭秀才
【あらすじ】
郭は友人の家からの帰りに、山で道に迷ってしまう。すると山の頂上で十人余りの人たちが酒を飲んでいるのに出くわす。道を尋ねるが、一緒に飲めというばかりなので仕方なく飲むことにするが…。
この集まっていた人たちは一体何者だったのでしょう。狐か仙人か、鬼か、はたまた天上の神たちか。いずれにせよ人間でないことだけは確かです。
気に入られて無事に帰れたから良かったものの、もし気に入られなかったらどんな目にあっていたかと思うと、なんだか怖くなるのは私だけでしょうか…。
賈児
【あらすじ】
ある商人が旅に出ている間に、妻が狐に憑かれてしまう。家には手伝いのおばあさんと、十歳になる子供しかいなかった…。
タイトルの「賈児」は、「賈人(あきうど)」つまり商人の子供という意味です。
この話に出て来る狐、陰険でいやな奴ですね。母親がそうなった子供こそいい迷惑。普通の子供だったらおろおろと何もできずに狐の思うがままになってしまうのでしょう。
ちなみにこの話、そっくりな話を前に読んだことがあったなあと思って調べてみたら、田中貢太郎先生の「狐の手帳」がヒットしました。
多分こっちの話を元にして、田中先生が狐の手帳を書かれたのでしょう。「狐の手帳」の朗読はこちらのページです。よかったら聞いてみてくださいね。

義鼠
【あらすじ】
仲間のねずみを蛇に飲まれたねずみは、しばらく小さな目でそれを見ていただけだったが…。
このお話、フィクションと思いきや、実は現実に起こりうるお話なんです。アメリカの大学で大好物の食べ物と監禁された仲間のねずみのケージを置いて、ねずみがどんな行動をとるのか実験しました。
全部ではないものの、ほとんどのねずみは先に仲間を助けてから好物を仲間と分け合ったそうです。
「一寸の虫にも五分の魂」などと言いますが、あんなに小さいねずみの小さな脳だって、仲間を大事に思う心はちゃんとあるんですね。ねずみだからと侮るなかれ。
この実験や似たような実験の詳しい情報は、「ネズミ 実験 仲間 助ける」などのキーワードで検索すると確認できますよ。
金陵女子
【あらすじ】
趙は道ばたで泣いている女を見かける。女が夫を亡くして帰るところがないというので家に連れ帰る。ところが2年たつと女は急に家に帰ると言って去ってしまう。女はうそをついていたのだ…。
不思議な女の話。何者なんでしょうね、この女の人。そもそもうそをついて家に入り込んだ理由も分からないし、ナゾだらけです。
よくあるのは以前男に助けられた動物とかが正体だったりしますが、恩返しでもなさそうだし、人間なのか別の何物かすらナゾのまま。
ここまで分からないことだらけだと、ある意味すがすがしくさえ思えてきますねー。ははは。
丁前渓
【あらすじ】
丁前渓(ていぜんけい)は男気の、情の深い人だった。代官に追われて逃げる途中のこと。泊った宿屋の非常に丁寧な対応が気に入った。だがここの家が貧乏で困っていることを知り、金を渡そうとするのだが…。
1つ疑問が。奥さんが金を受け取らなかったってことは、宿代を払わなかったってことなのでしょうか。それとも決まった宿賃だけ受け取って、それ以上の(チップ的な)お金は断ったとの解釈でいいのでしょうか。
主人は賭場を開いて暮らしているというし、この家は宿屋ではないのかもしれません。たまたま雨が降って雨宿りした普通の家に泊めてもらった、と考えれば話がストンと腑に落ちるのですけれど。
庚娘
【あらすじ】
金大用(きんだいよう)は兵隊が反乱を起こしたため、家族を連れて命からがら逃げだした。途中で若い妻を連れた、王という男と道連れになる。王は舟を手配してくれるが、その夜、金は父と母と共に王によって川に突き落とされてしまう。残された妻は…。
なんだか不思議な、アラビアンナイトとかに出て来そうな、ちょっとロマンチックなお話です。
極悪人の「王」。この人最初の方では「少年」となっています。後の方で庚娘が「三十にもなった男」と言っているので、ん?少年じゃないの?まあまあ大人なのかと思ったりしました。中国古典では30歳くらいの人も少年と呼ぶのかもしれません。
王の名前が「十八」弟は「十九」って、十八番目と十九番目の息子ってことでしょうか。たくさん兄弟がいるんですね。
ここまで兄弟が多いと、親も名前を付けるのが面倒になったのかな、くすっと笑ってしまいました。親の手抜き感がすごいです。
日本なら、太郎、次郎、三郎…ってところですね。
「聊斎志異」について
「wikipedia」より
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聊齋は蒲松齢の号および書斎の名である。
『聊齋志異』とは「聊齋が異を志す」の意味。
内容は神仙、幽霊、妖狐等にまつわる怪異譚。
当時世間に口伝されていたものを収集して文言小説の形にまとめたものである。
作者の没後約半世紀を経て刻本として上梓された。
版本によって異同があるが、およそ500篇の作品を収録している。
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蒲松齢 作
柴田天馬 訳
昭和30年、角川書店発行、「完訳 聊斎志異」全八巻を一巻から順番に読ませていただいています。
差別的な表現などは言い換えたり、飛ばしても意味の通るものは飛ばしてよんでいます。あらかじめご了承ください。