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<今回の音声は。。。>
皆様大変ご無沙汰しておりました。
約一年半ぶりの聊斎志異です。今回は連載35回目になります。今回は四巻から、
・労山道士
・王子安
・劉全
・狐嫁女
・聶小倩以上5つの話を読ませていただきました。
武葉槌の読書ノート
2021.11.01 書き込み
朗読は「声に出して読む読書」です。読書をしたらアウトプットをすると、作品に対する理解が深まり、より作品を楽しむことができるそうですよ。
武葉槌なりの「読書ノート」、お楽しみください。気を付けてはいますが、ネタバレも少しあると思いますので、情報を入れずに聞きたい方はご注意ください。
↓ 読書ノートを朗読した音声です。
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労山道士
旧家の七男の王という秀才は、道術を習いたいと労山という山へ行き、そこにいた道士に弟子入りを頼むが…。
楽をして何かを得ようとするとこうなりますよ、というお話。
昔の中国の話に出て来る道士は、まるで魔法使いのようです。単なる手品のような技なのか、高度なテクノロジーが実はあったのか…。考えてみると面白いですね。
途中「嫦娥(じょうが)」なる美女が登場します。これは以前読んだ「嫦娥」に出て来る登場人物と同じ人かどうかは分からないものの、どちらも美女であることは間違いありません。
「嫦娥」はこちらのページで朗読しています。興味のある方は聞いてみてくださいね。

王子安
能力はあるが試験運のない男、王子安が試験の発表の近いある日、ひどく酔っぱらって寝ていると…。
試験を受けて合格を待つ間ほど、落ち着かないことはないですね。周りも気を使って腫物を扱うようにしたりして。
このお話は今の考え方からすると、結構残酷なお話のような気がします。現代ならこんなこと他人にやったら相当問題でしょうが、当時はわりと平気だったんでしょうね。
しかし、やられた方はたまったもんじゃない。いたずらにしても、やりすぎかもなーと思いました。
劉全
【あらすじ】
候某という牛の医者(獣医)は、普段から行いのいい男だった。つむじ風にはおかゆを供え、銅像が汚れていれば自分の手できれいにしてやっていた。
ある日、候が病気で寝ていると、いきなり二人の男にどこかに連れ去られてしまうが…。
日頃からよい行いをしていればこうなりますよ、というお話。しかし、悪いことをしたかどうか分からない状態でいきなり地獄に連れ去られるのは、何とも乱暴な話です。明らかに訴え得ですよね。
役人がいいかげんな者だったりワイロをもらったりしていたら、訴えたものに得な判決を下すこともあるし、不公平な制度だなーと思います。
自分のことは自分で守らなければ誰も助けてくれない。どこの国も大なり小なり同じようなところはあるけれど、この不条理は中国古典特有のものがあるなあと感じます。
狐嫁女
【あらすじ】
歴城の殷尚書という偉い人がまだ若くて貧乏な書生だった頃の話。
近所に化け物が出ることで有名な屋敷があった。そこで1人で一晩過ごすことができたら仲間のみんなでおごってくれるというので、彼が中に入ることになる。
しばらく待っていたが何も起こらない。つい彼がうとうとしていると…。
狐にまつわる不思議な話。貧乏な若者が将来どんな役に付くか、どんな人物かも分かる能力が中国の狐にはあるようです。
日本の昔話では、人に泥団子を食べさせたりおしっこのお酒を飲ませたり、狐には子供っぽいイメージがあります。
中国の狐は神通力もあり、対応の仕方もかなり大人だなーと感じます。ただの妖怪というより、道士や仙人に近い存在だと考えられていたのかもしれませんね。
聶小倩
【あらすじ】
まじめで物堅い寧は、仕事の用事で金華にやってきた。ちょうど試験のために宿代が高騰していたので、寺に泊めてもらおうと考えた。
寺には住職はおらず一人の書生がいるだけで、自由に泊ってもいいと言われ旅装を解いた。
さてその晩のこと、一人の美女が寧の泊っている部屋にやってくるが…。
この寧さん、すごい堅い人ですね。ほとんどの男の人には、寧さんみたいなことは無理じゃないかと思います。「据え膳食わぬは男の恥」なんて昔から言いますよね。だからこうやってお話が残ったんでしょうけれど。
中国古典によく出てくるのが、「剣客」という存在。この剣客、単に剣術が強い人、というだけでは無いようですよね。正体を隠している人も多いし。
日本で剣客と言えば、剣術の強い人のイメージがあります。例えば宮本武蔵とか。
中国の剣客は、やはり道士や仙人に近いような気もしますし、暗殺者のことなのかもしれないと想像しています。
もっと中国の古典について勉強しないといけないなと痛感しています。剣客についても分かったらまた報告したいと思います。
「聊斎志異」について
「wikipedia」より
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聊齋は蒲松齢の号および書斎の名である。
『聊齋志異』とは「聊齋が異を志す」の意味。
内容は神仙、幽霊、妖狐等にまつわる怪異譚。
当時世間に口伝されていたものを収集して文言小説の形にまとめたものである。
作者の没後約半世紀を経て刻本として上梓された。
版本によって異同があるが、およそ500篇の作品を収録している。
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蒲松齢 作
柴田天馬 訳
昭和30年、角川書店発行、「完訳 聊斎志異」全八巻を一巻から順番に読ませていただいています。
差別的な表現などは言い換えたり、飛ばしても意味の通るものは飛ばしてよんでいます。あらかじめご了承ください。